[税金]所得税法・法人税法等

サラリーマンから個人事業主・会社まで所得税・法人税等の確定申告の便覧に。税務ハンドブックとして税金対策にも役立ちます。


譲渡所得の金額―例外―無償・低額の資産移転の場合―取得費の引継ぎによる課税繰延(取得費の計算の特例)


取得費の引継ぎとは

取得費の引継ぎ」の定義・意味・意義

一般に、課税繰延という用語は税金の世界ではよく使用され、所得税法に限らず、法人税法でも使われています。

課税繰延とは、今の課を見合わせるが、将来所定の状況が生じれば、その時点で課を行うという制度です。

課税の繰延べ課税の繰延課税の繰り延べ)などとも表現されています。

課税繰延は、所得税法上、具体的には、贈与・相続・遺贈により取得した(個人→個人)資産については譲受人が譲渡人の取得費を引継ぐというかたちで行われています。

これを「取得費の引継ぎ」といいます。

つまり、「取得費の引継ぎ」とは、贈与・相続・遺贈による譲渡については、原則として、譲渡人に対する課を見合わせるが、譲受人が譲渡人の取得費を引継ぐというかたちで、将来的に課を行う課税繰延の一制度をいいます。

この制度により、譲受人が、将来、売買などにより資産を譲渡する場合に、その譲渡所得の計算において、値上がり前の安い取得費が引き継がれて使用されることで、課が行われることになります。

取得費の引継ぎの要件・条件

取得費の引継ぎによる課税繰延が行われるのは、原則として、個人が個人に対して贈与・相続・遺贈する場合です。

そして、この場合は、譲渡人にはみなし譲渡所得課税(=時価で譲渡したものとみなされて課される)は行われません。

具体的には、次のような場合があります。

  1. 個人に対し、相続(限定承認に係るものを除く)、遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)、贈与による無償の譲渡をしている場合
  2. 個人に対する低額譲渡で、かつ譲渡損が生じている場合

なお、限定承認による相続や、包括遺贈で限定承認による遺贈の場合は、譲渡人にみなし譲渡所得課税が行われます。

この場合、譲受人は譲渡人の取得費を引き継がず、その取得時(相続時・遺贈時)における時価で取得したものとみなされます。

以上、詳細については、次のページを参照してください。

みなし譲渡所得課税と課税繰延の要件・条件



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  21. 譲渡所得の課税関係(課税方法・税額の計算方法・納税方法)―②土地建物等の分離課税の譲渡所得
  22. 譲渡所得の課税関係(課税方法・税額の計算方法・納税方法)―②土地建物等の分離課税の譲渡所得―趣旨
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