[税金]所得税法・法人税法等

サラリーマンから個人事業主・会社まで所得税・法人税等の確定申告の便覧に。税務ハンドブックとして税金対策にも役立ちます。


必要経費算入の制限規定―家事関連費・租税公課等―家事費・家事関連費等―家事関連費―例外―必要経費となる家事関連費


家事関連費必要経費に算入できる場合

概要・概略・あらまし

家事関連費は、基本的には所得の処分と考えられますので、必要経費として控除することはできないのが原則です。

ただし、家事関連費には業務・仕事で使う必要経費の部分も混在していますので、所定の条件を満たせば、例外的に必要経費に算入できる場合が定められています。

家事関連費とは

この条件については、所得税法が定めていますが、課実務(所得税基本通達)上はこれより緩い基準で家事関連費必要経費算入が認められています。

所得税法上の取り扱い

所得税法では、次のいずれかに該当する場合には、家事関連費必要経費として認められます。

  1. 白色申告者で、家事関連費の主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつ、業務に必要である部分を明らかに区分することができる場合のその区分できる金額
  2. 青色申告者で、取引の記録などに基づいて、業務の遂行上直接必要であったことが明らかに区分することができる場合のその区分できる金額

所得税法施行令
家事関連費
第九十六条 法第四十五条第一項第一号 (必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得事業所得山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費

このように、白色申告者の場合と青色申告者の場合とで、若干必要経費にできるための条件が異なります。

1.白色申告者の場合
  1. 家事上の経費に関連する経費の主たる部分
  2. 業務の遂行上必要であり、かつ、
  3. 業務に必要である部分を明らかに区分することができる場合

その区分できる金額は必要経費となります。

つまり、白色申告者にあっては、特に、家事関連費の「主たる部分」が業務・仕事で使う部分であることが条件とされています。

わかりやすく言えば、家事関連費に占める業務・仕事の部分の割合が小さければ(=「主たる部分」ではなければ)必要経費に算入できないということです。

後述のように、家事関連費必要経費に算入するには、課実務上、家事関連費に占める業務・仕事の部分の割合が50%超であることが必要とされています。

2.青色申告者の場合
  1. 取引の記録などに基づいて
  2. 業務の遂行上直接必要であったことが
  3. 明らかに区分することができる場合

その区分できる金額は必要経費となります。

実務(所得税基本通達)上の取り扱い

上記のように、所得税法上は、白色申告者については、「家事上の経費に関連する経費の主たる部分」という条件が付されています。

しかし、課実務では、「主たる部分」でなくても、必要である部分を明らかに区分することができれば、その必要部分を必要経費に算入できるとされています。

つまり、実務上は、白色申告者であっても青色申告者であっても、要は業務・仕事に必要である部分を明らかに区分することができればよく、両者は同様の取扱いを受けている、ということになります。

所得税基本通達
(業務の遂行上必要な部分)
45-2 令第96条第1号に規定する「主たる部分不動産所得事業所得山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。



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