[税金]所得税法・法人税法等

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所得税―会計上の基本原則―期間損益計算


(" 会計―特色―継続企業の前提―期間損益計算 "から複製)

期間損益計算とは

期間損益計算の定義・意味など

期間損益計算(きかんそんえきけいさん)とは、会計において、人為的に区切った一定期間=会計期間で利益計算を行うことをいう。

現行法上は1年以内とされる。通常は1年とするところがほとんどである。

期間損益計算の理論的根拠

継続企業の前提

現代の企業のほとんどは半永久的に事業を続けようという継続企業であり、企業の経営活動は、その設立から解散まで継続して行われる。

当初のイギリス東インド会社のように1回の航海のためにお金を集めて貿易で稼ぎ、帰ってきたら解散して、お金を山分けするようなかたち『スラスラ読める簿記の本』(村形聡著)より引用)ではない。

このように継続企業が前提とされている場合(→継続企業の前提)、利益計算を行うためには、①人為的に期間を区切ったうえ(→会計期間)②資本と資本の増加部分である利益を区別し(→資本利益区別の原則)、そのうえでその期間における利益を計算する(→期間損益計算。決算)よりほかはない。

つまり、継続企業においては期間を区切らなければ、永久に資本が増えたり減ったりするだけで利益を確定できない。

期間損益計算の目的・役割・意義・機能・作用など

複式簿記・会計の目的

1会計期間における利益=資本の増加部分(正確には自己資本の増加部分)を、投資の成果である利益とそれを生み出した資本とに区別して測定し、報告すること、すなわち、利益計算(決算)=期間損益計算はまさに複式簿記ないしは会計(企業会計)の目的にほかならない。

簿記から会計への発展

複雑な期間損益計算を可能にするため、簿記は会計へと発展した。

リトルトンはその著『会計発達史』でその間の事情を次のように具体的に説明している。

…、近代の事業は継続事業である。機械は数年間使用されるし、工場建物は時に一世紀以上も使用に耐え、鉄道線路は将来継ぎ足される予定で建設する。生産工程は原料と仕掛品と完成品との絶えることなき流れから成っている。費用は多数の工程と多数の製品に共通に生じ、隊商の費用のように、一包の商品について個々に生ずるのではない。しかし、社会が工業化してきても人間生活の仕来りは不思議と農業的である。時間というものは四季の移り変りが自分の生活に密接な意義があるからこそ存するのである。地球が太陽の周りを回るにしたがって、種蒔きの時期と収穫の時期がやってくる。かような周期に織りこまれた折々の期間についても、人間はやはりその期間の結果をきめなければ気がすまないのである。
われわれは事業が一期間にどれだけの成果を挙げたかを知ろうとする。優先株主と普通株主とのたがいの請求権がまった変わってしまうかもしれないから、利益が12月に属するか翌年1月に属するかをきめることを知らねばならない。務署の要求を満足させるためにも期間利潤を算定しなければならない。それだからこそ、この永続的な事業をとりあげて、これを「年」とよぶ人為的な長さに切り、そして50年の寿命をもつ建物の原価、20年使える機械の原価、10年もつ溶鉱炉の原価、12月に購入して春までに消費すべき石炭の購入額などについてそれぞれ各年度にその適正量を割当てるという面白くない仕事をするために計算係が必要なのである。会計上のいろいろな問題は大部分年の経過に応じて期間的成果を表示するというこの要求から起こってきている。

リトルトン 『会計発達史[増補版]』 同文館出版、2002年、20項。



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