売上原価―①計算方法―棚卸資産の評価(期末商品棚卸高の評価)
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棚卸資産の評価
棚卸資産の評価の定義・意味など
棚卸資産の評価(たなおろししさんのひょうか)とは、棚卸資産の価値を確定することをいう。
棚卸資産の評価の目的・役割・意義・機能・作用など
費用収益対応の原則
たとえば、同じ商品や消耗品などであっても、仕入れ・購入ごとに仕入単価・購入単価が異なることがあるため、費用収益対応の原則から、いつ、いくらで仕入れた・購入した商品・消耗品などが費消されたのか(期中の場合)、そして、その結果、いつ、いくらで仕入れた・購入した商品・消耗品などが残っているのか(期末の場合)を確定すること(=棚卸資産の評価)が必要となる。
棚卸資産の評価の具体例
たとえば、会社の利益を計算して、損益計算書や貸借対照表を作成するには、本年分の必要経費となる売上原価を確定しなければならない。
ただし、費用収益対応の原則から、本年中の仕入高をそのまま売上原価にすることはできない。
そこで、売上原価は、便宜上、次の計算式・公式で算定・算出した金額としている(3分法※)。
※売上原価を確定するためには、 3分法と分記法という2つの方法があるが、3分法のほうが一般的である。
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高
期末商品棚卸高は、帳簿上の金額となることに注意。
また、消耗品費などについても同様である。
消耗品費 = 期首消耗品棚卸高 + 当期消耗品購入高 - 期末消耗品棚卸高
上記算式中の期末棚卸高の計算などのために棚卸資産の評価が必要になる。
なお、棚卸資産の評価は、期末にかぎらず、期中においても問題となる。
棚卸資産の評価の位置づけ・体系
たとえば、商品の棚卸高は、次の計算式により算定・算出する。
つまり、棚卸高は、棚卸資産の数量の確定と棚卸資産の価値の確定という2段階の手続きによって行われることになる。
このうち棚卸資産の数量を確定する作業が実地棚卸であり、価値を確定する作業が棚卸資産の評価である。
- 棚卸資産の数量の確定 → 実地棚卸…何個の商品・消耗品などが残っているか
- 棚卸資産の価値の確定 → 棚卸資産の評価…いつ、いくらで仕入れた・購入した商品・消耗品などが費消されたのか(期中の場合)、そして、その結果、いつ、いくらで仕入れた・購入した商品・消耗品などが残っているのか(期末の場合)
1.棚卸資産の数量の確定
実地棚卸
商品等の数量の確定は、原則として、実地棚卸、すなわち実際に商品等の数を数えることにより行う。
2.棚卸資産の価値の確定
棚卸資産の評価
(①棚卸資産の評価方法(期中・期末))
棚卸資産の評価は簡単ではない。
そこで、棚卸資産を評価するための方法、すなわち、棚卸資産の評価方法が問題となる。
この点、期中・期末の棚卸資産の評価方法としては、取得原価主義に基づく原価法が採用されている。
法人税法上、原価法として、次の方法が認められている(法人税法施行令28条1項1号)。
※単純平均法と後入先出法は、2010年4月1日以後開始する事業年度から廃止され、使用できなくなった。
なお、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」では、棚卸資産の評価方法として、次の4つを規定している。
また、「中小企業の会計に関する指針」では、棚卸資産の評価方法につき、次のように規定している。
棚卸資産の評価方法は、個別法、先入先出法、後入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法等、一般に認められる方法によるものとしている。
なお、期間損益の計算上著しい弊害がない場合には、最終仕入原価法を用いることもできる。
(②棚卸資産の評価基準(期末))
しかし、期末の棚卸資産の貸借対照表価額については、これとはまた別の問題が発生する。
すなわち、期末の棚卸資産の貸借対照表価額について、取得原価を基準にした評価をそのまま採用する(=原価法)のか、あるいは、時価を基準にして再評価する(=低価法)のかという問題である。
貸借対照表―資産―流動資産―棚卸資産(たな卸資産)―会計・簿記・経理
この問題を棚卸資産の評価基準という。
この点、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号)により、期末棚卸資産の時価が取得原価より低い場合は、時価で棚卸資産を再評価する低価法が強制適用される。
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