売上原価―②費用の認識基準(計上時期・期間帰属) - [税金]所得税法・法人税法等

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売上原価―②費用の認識基準(計上時期・期間帰属)


売上原価の認識基準(計上時期・期間帰属)

法上は、債務が確定していない限り、必要経費または損金に算入しないのが原則である(債務確定主義。費用の認識基準に関する法上の基本原則)。

ただし、売上原価については、所得税法(個人事業主(自営業)の場合)においても法人税法(会社・法人の場合)においても、例外的に債務の確定までは必要とされていない。

すなわち、結論から言えば、法上、売上原価は適正な見積額によって必要経費または損金に算入できるものとされている。

所得税法上の取り扱い

債務確定主義の適用対象外
適正な見積額による必要経費算入

所得税法の文言上、債務確定主義の適用対象は「その年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」に限定し、売上原価はその対象とはされていない。

したがって、所得税法上、売上原価必要経費に算入するためには債務の確定は必要なく、適正な見積額によって必要経費に算入できるものと解される。

所得税法
必要経費
第三十七条 その年分の不動産所得の金額事業所得の金額又は雑所得の金額事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

ただし、課実務では、売上原価についても販売費及び一般管理費と同様に債務確定主義の適用対象としている。

所得税基本通達
売上原価等の費用の範囲)
37-1 法第37条第1項に規定する「売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用」は、別段の定めのあるものを除き、その年において債務の確定しているものに限るものとする。

しかし、こうした所得税における課実務の取扱いは、一般に個人は法人に比べて記帳能力などが低く、未確定の原価を正確に見積もることが技術的に困難な場合が多いことに配慮したものと考えるべきである。

したがって、所得税においても、未確定の売上原価を正確に見積もりうる場合にまで、その必要経費算入が否定されるものではないと解すべきである。

佐藤英明『スタンダード所得税法』 弘文堂、平成21年、260頁。

法人税法上の取り扱い

債務確定主義の適用対象外
適正な見積額による損金算入

法人税法においても、債務確定主義の適用対象は「当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外…)」に限定し、売上原価はその対象とはされていない。

したがって、売上原価損金算入するためには債務の確定は必要なく、合理的な見積額によって損金算入できるものと解される。

法人税法
(各事業年度の所得の金額の計算)
第二十二条
3  内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一  当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二  前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三  当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

また、法人税では課実務においても売上原価は債務の確定までを要せずに適正な見積額によって損金算入できる扱いになっている。

法人税基本通達
売上原価等が確定していない場合の見積り)
2-2-1 法第22条第3項第1号《損金の額に算入される売上原価等》に規定する「当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価」(以下2-2-1において「売上原価等」という。)となるべき費用の額の全部又は一部が当該事業年度終了の日までに確定していない場合には、同日の現況によりその金額を適正に見積るものとする。…



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