年末調整―要否
年末調整の要否
原則
会社の義務化・罰則
会社は、所得税法(第190条~193条)により、原則として、年末調整を行うことを義務づけられている。
また、この義務を怠った場合の罰則もあり、10年以下の懲役・200万円以下の罰金とされている(所得税法第240条)。
なお、年末調整は、源泉徴収税額と年税額の過不足分を精算するための制度であるところ、この目的は、従業員が個別に確定申告を行うことによっても達せられる。
つまり、従業員が確定申告をして「精算」(=正規の年税額を納付すること)さえすれば、年末調整は不要ではないか、という疑問も生じるが、法の建て前として、後記の例外にあたる場合以外は、会社は年末調整をしなければならない。
実際問題としても、年末調整をしなかった従業員のすべてが確定申告をすることは保証されていない。
所得税法
(年末調整)
第百九十条 給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で、第一号に規定するその年中に支払うべきことが確定した給与等の金額が二千万円以下であるものに対し、その提出の際に経由した給与等の支払者がその年最後に給与等の支払をする場合(その居住者がその後その年十二月三十一日までの間に当該支払者以外の者に当該申告書を提出すると見込まれる場合を除く。)において、第一号に掲げる所得税の額の合計額がその年最後に給与等の支払をする時の現況により計算した第二号に掲げる税額に比し過不足があるときは、その超過額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収すべき所得税に充当し、その不足額は、その年最後に給与等の支払をする際徴収してその徴収の日の属する月の翌月十日までに国に納付しなければならない。
例外―年末調整不要
所得税法第190条からは、以下のいずれかに該当する場合は、会社は年末調整をする必要がないことになる。
また、これ以外にも年末調整の対象とならない人がいる。
1.従業員が給与所得者の扶養控除等申告書を提出していない場合
条文により、従業員が給与所得者の扶養控除等申告書を提出していない場合には、会社はその従業員に対しては、年末調整を行う必要がないことになる。
2.従業員の給与等の金額が2000万円超
同様に、従業員の給与等の金額が2000万円超の場合にも、会社はその従業員に対しては、年末調整を行う必要はない。
3.源泉徴収税額と年税額に過不足がない場合
源泉徴収税額と年税額に過不足がない場合は、当然、年末調整は不要である。
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