[税金]所得税法・法人税法等

サラリーマンから個人事業主・会社まで所得税・法人税等の確定申告の便覧に。税務ハンドブックとして税金対策にも役立ちます。


損失による分類―純損失―救済―所得税法上の取り扱い―②純損失の繰戻還付(繰戻しによる還付)


純損失の繰戻還付(純損失の繰戻しによる還付)とは

純損失の繰戻還付(純損失の繰戻しによる還付)の定義・意味・意義

純損失の繰戻還付とは、純損失の金額を、前年分の所得に繰り戻して控除し、前年分の所得税額の還付を受けることをいいます。

純損失

純損失とは、損益通算をおこなってもまだ控除しきれない損失をいいます。

損益通算―損益通算しても控除しきれない場合―純損失

 

純損失の繰戻還付の趣旨・目的・役割・機能

純損失の繰戻還付の制度は、純損失の繰越控除の制度と同じく、その赤字分が取り戻せる制度です。

すなわち、事業をしていると、当然赤字になることもあります。

赤字になった場合でも、損益通算により黒字の所得から控除できればいいのですが、控除できない場合(つまり、純損失がある場合)もあります。

純損失の繰戻還付は、純損失がある場合でも、前年が黒字であれば、その損失分を繰り戻し、前年の所得税還付が受けられるという非常に有利な制度です。

つまり、純損失が生じた年は、例外的に前年の所得額と通算して2年を単位として(原則としては1年が単位です)所得額や所得税額を計算することができることになります。

 

純損失の繰戻還付の位置づけ・上位概念

期間計算主義の例外的制度

法上、所得計算を可能とするために一定の計算期間を区切る期間計算主義という原則があります。

しかし、この原則を厳格につらぬくと、徴の不合理と負担の不公平をまねく場合があります。

そこで、特別の規定により、例外的な措置が取られていますが、純損失の繰戻還付の制度もそのひとつです。

日野炭鉱飛躍上告事件 最判昭和40年4月9日
…純損失の繰戻しによる還付の制度は、…期間計算主義から来る徴の不合理と負担の不公平をなくすための期間計算主義に対する倒外的措置であつて、その旨の特別の規定があつてはじめて可能となるものである…

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面 http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53072&hanreiKbn=02

純損失の控除方法のひとつ

純損失の繰戻還付の制度は、純損失が出た場合の損失額を控除する(赤字分を取り戻す)方法のひとつです。

なお、純損失が出た場合に損失額を控除する方法としては、次の2つの方法があります。

  1. 純損失の繰越控除
  2. 純損失の繰戻還付(純損失の繰戻しによる還付)

 

純損失の繰戻還付の要件・効果

次のページを参照してください。

純損失の繰戻還付(純損失の繰戻しによる還付)の要件と効果

 

純損失の繰戻還付のための請求手続き

次のページを参照してください。

純損失の繰戻還付(純損失の繰戻しによる還付)を受けるための請求手続き

 



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