青色申告―効果(特典・メリット)―引当金や準備金の必要経費算入
青色申告の特典・メリット・効果―引当金や準備金の設定
引当金や準備金の必要経費算入
所得税法では、次の3つの引当金については、必要経費に算入することが認められています。
また、租税特別措置法などの特例法では、特別修繕準備金などといった準備金の繰入れも認められています。
取引先の倒産や債務不履行による売掛金などの回収不能、つまり、貸し倒れは、それ自体が大きな損失になるのはもちろんのこと、事業の運転資金も圧迫してきます。
特に個人事業主の場合には、貸し倒れは多大な影響を与え、死活問題ともなります。
貸し倒れへの会計処理上の備えとしては、貸倒引当金を設定して一定の資金を準備しておくことで、これに対処することになります。
この点、事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者が、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における売掛金などの帳簿価額の合計額の5.5%(金融業者の場合は3.3%)以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額が必要経費として認められます。
つまり、青色申告であれば、損失に備えて、あらかじめ一定の金額を必要経費することができるということです。
引当金や準備金の設定の本当のメリット
実際、書籍などでも青色申告のメリットして、よく「貸倒引当金の必要経費算入」があげられています。
そこには、必要経費に算入できれば、所得税額を減少させることができるというニュアンスがあります。
しかし、実は、貸倒引当金を必要経費に算入することで所得税額を大きく(?)減少させることができるのは、初めて貸倒引当金を設定した年度に限られる、ということに注意をする必要があります。
というのは、最初に貸倒引当金を設定した翌年以降は、前年の貸倒引当金の勘定残高を貸倒引当金戻入額(特別利益)として全額戻し入れて利益計上し(総収入金額に算入し)、あらためて今年度の貸倒引当金繰入額を費用計上して貸倒引当金を設定しなおすことになるからです。
貸倒引当金―会計・経理処理―決算時の処理(決算整理仕訳)―貸倒引当金の設定―貸倒引当金の残高がある場合 - 簿記勘定科目一覧表(用語集)
つまり、次年度以降は、貸倒引当金を設定して繰り入れた額は、結局その翌年に総収入金額に算入されることになるということです。
したがって、青色申告で引当金や準備金を必要経費に算入することが認められていることの本当のメリットは、やはり、引当金や準備金制度の本来の趣旨である、費用の平準化にあるといえるでしょう。
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