[税金]所得税法・法人税法等

サラリーマンから個人事業主・会社まで所得税・法人税等の確定申告の便覧に。税務ハンドブックとして税金対策にも役立ちます。


所得金額―所得の年度帰属―特例―工事進行基準


工事進行基準とは

工事進行基準の意味・定義

収入金額の計上時期(売上計上基準)は、原則として、商品や製品の出荷や納品、検収の時点です。

収入金額の帰属時期―特例―概要・全体像

工事進行基準とは、収入金額の計上時期に関する上記原則の例外として、建築や造船、システム開発など、サービスや物品の提供に時間がかかる契約(これを工事契約といいます)については、工事の完成度合いに応じて工事に関する収益と原価を計上する(総収入金額必要経費に算入する)という基準をいいます。

工事進行基準の適用要件(条件・適用範囲)

1.工事であること

ここにいう「工事」とは、仕事の完成に対して対価が支払われる請負契約のうち、完成品の基本的な仕様や仕事内容が顧客(施工主)の指図に基づいて行われるものをいいます。

具体的には、土木や建築、プラント建設、造船、一部機械装置の製造・設置などがあります。

2007年12月に定められた「工事契約に関する会計基準」(企業会計基準第15号)では、受注制作のソフトウェア開発も対象とされました。

2.工事期間が1年以上の工事であること

工事期間が1年以上の工事であれば、長期大規模工事については、工事進行基準が強制適用され、それ以外の工事は工事進行基準を選択適用することができます。

  • 長期大規模工事 → 強制適用
  • それ以外の工事 → 選択適用
長期大規模工事
長期大規模工事とは、工事期間が2年以上で、かつ、請負金額が50億円以上などの要件を満たした工事をいいます。

工事進行基準の方法

1.総収入金額(収益)の算定・算出・計算方法

総収入金額は、以下の算式で計算します。

工事請負代金×その年末までの累積支出工事原価/その年末における見積工事原価の額-前年までの計上利益

2.必要経費(費用)の算定・算出・計算方法

必要経費は、以下の算式で計算します。

その年に支出した工事原価

工事進行基準の位置づけ

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収入金額の帰属時期―特例―概要・全体像

工事進行基準の目的・趣旨・機能

長期工事についても、原則どおり、仕事の完成・引き渡し時点をもって収益を認識するとすると、長期間にわたって原価(費用)ばかりが認識され、収益は認識されることはありません。

したがって、適正な期間損益計算ができないことになります。

そこで、工事の進行度合いに応じて収益を計上し、これを財務諸表に反映させるための会計方法が工事進行基準です。



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  12. 所得金額―所得の年度帰属―特例―概要・概略・あらまし
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  14. 所得金額―所得の年度帰属―特例―工事進行基準
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