所得金額―所得の年度帰属―収入の帰属時期―原則―発生主義―原則―権利確定主義
権利確定主義とは
権利確定主義の定義・意味・意義
権利確定主義とは、収益は、その実現があったとき、すなわち、その収入すべき権利が確定したときの属する年度の益金に計上するという税法上の原則をいいます。
ちなみに、これは、企業会計上でいうところの実現主義に相当します。
企業会計原則―損益計算書原則―収益・費用の認識基準―種類―実現主義 - 簿記勘定科目一覧表(用語集)
所得税法上は、権利確定主義の例外(特例)として、延払基準、工事進行基準、小規模事業者の現金基準が規定されています。
権利確定の具体的基準
権利確定主義における「権利が確定したとき」という基準では、まだまだ抽象的です。
そこで、実務に際しては、より具体的な基準が必要となってきます。
次のページを参照してください。
権利確定主義の趣旨・目的・役割・機能
収益の認識基準・収入の帰属時期に関する基準
収入金額を確定するにあたっては、「いつの年の収入とするか=収入の帰属時期(収入金額の収入時期)」という問題が重要となります。
所得税は、暦年ごとの所得を単位として、超過累進税率を適用して課税するシステムとなっている(暦年単位課税)ので、いつの年の収入とするかによって、その負担額に大きな差が生じてくるからです。
発生主義の採用
収益の帰属時期に関する基準(収益の認識基準)には、大別すると発生主義と現金主義とがあります。
この点、所得税法は、収入金額について、原則として、実際に支払を受けた金額、つまり収入した金額ではなく、「その年において収入すべき金額」(第36条1項)と規定しています。
そして、例外的に(特例として)現金主義を採用した小規模事業者の現金基準に関する条文では「その年において収入した金額」(第67条)という表現が使われています。
したがって、所得税法は、原則として、発生主義を採用しているものといえます。
権利確定主義の採用
権利確定主義は、現金の収入に関わらず、取引の事実が発生した時を基準とする(収益を認識・計上する)発生主義的な考え方の一つとして位置づけられることがあります。
判例・通説は、発生主義のなかでも、収入する権利が確定した時を基準とする、この権利確定主義を採用したものと解しています。
会計上、費用についてはこれをもらさず取り込むために発生主義が採用されていますが、税法上は、この会計上の発生主義をさらに厳格に絞り込み、権利が確定した時点で収入を計上すべきものとしたわけです。
権利確定主義の位置づけ・体系
権利確定主義は、収益の認識基準に関する税法上の基本原則です。
これに対して、費用の認識基準に関する税法上の基本原則が債務確定主義です。
また、上述のように、権利確定主義は発生主義の1つの種類(具体例)です。
発生主義には、この権利確定主義以外にも、管理支配主義があります。
所得税法上、原則として、権利確定主義が採用されていますが、例外的に管理支配主義も採用されています。
なお、会計上、税法上の権利確定主義等に相当する概念として実現主義等があります。
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