所得金額―所得の年度帰属―収入の帰属時期―原則―発生主義―原則―権利確定主義―無条件請求権説
無条件請求権説とは―権利確定主義の具体的基準
はじめに
所得税法は、収入の帰属時期の問題については、原則として、発生主義、そして、そのなかでも収入する権利が確定したときを基準とする、権利確定主義を採用したものと解されています。
しかし、権利確定主義における「権利が確定したとき」という基準でも、まだまだ抽象的です。
そこで、所得税基本通達では、各所得分類やそれらの所得を発生させる取引の類型ごとに、収入時期を明らかにしています(所得税基本通達36-2~36-14)。
その内容については、以下のページで各所得分類ごとに説明していきますが、このページでは、この所得税基本通達の根底にある考え方についてまとめています。
権利が確定したとき≠契約成立の日
法律的には、契約が成立したときに権利が発生します。
そして、さらに、たとえば、民法では、通説・判例は、所有権移転の時期についても、契約成立の日であると解しています。
つまり、物の引き渡しや代金の支払いがなくても、契約が成立しただけで、その物の所有権が移転するというわけです。
しかし、権利確定主義における「権利が確定したとき」は、一般的には、この「契約成立の日」よりももっと遅いもの(たとえば、引き渡しがあった日など)と考えられています。
無条件請求権説の定義・意味・意義
それでは、一体、いつをもって権利が確定したと考えればいいのか、ですが、その具体的基準のひとつが無条件請求権説です。
無条件請求権説とは、収入を受け取る側がやるべきことをすべてやり終えて、無条件に収入を請求できるようになったときに、権利が確定したと考える説をいいます。
たとえば、売主が自分が行うべきことをすべてやり終えて、あとは、買主の代金の支払を待つだけという状態になったときに、権利が確定したと考えるわけです。
所得税基本通達で定められている「収入金額の収入すべき時期」(=収入の帰属時期)の根底には、こうした考え方があるのだ、と考えると、わかりやすいかと思います。
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