必要経費―引当金―貸倒引当金―貸倒引当金繰入限度額―一括評価―一括評価金銭債権(一括評価貸金) - [税金]所得税法・法人税法等

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必要経費―引当金―貸倒引当金―貸倒引当金繰入限度額―一括評価―一括評価金銭債権(一括評価貸金)


一括評価金銭債権とは

一括評価金銭債権の定義・意味など

一括評価金銭債権(いっかつひょうかきんせんさいけん)とは、法人税法上、貸倒引当金の繰入限度額の計算にあたり、個別評価金銭債権以外の金銭債権(つまり、経営破綻または実質的に経営破綻に陥っていない債務者に対する一般債権)をいう。

所得税法上は一括評価貸金(いっかつひょうかかしきん)(個別評価貸金等以外の金銭債権)と呼ばれている。

法人税法
貸倒引当金
第五十二条
2  前項各号に掲げる内国法人が、その有する売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権(個別評価金銭債権を除く。以下この条において「一括評価金銭債権」という。)の貸倒れによる損失の見込額として、各事業年度(被合併法人の適格合併に該当しない合併の日の前日の属する事業年度及び残余財産の確定の日の属する事業年度を除く。)において損金経理により貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該繰り入れた金額のうち、当該事業年度終了の時において有する一括評価金銭債権の額及び最近における売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権の貸倒れによる損失の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額(第六項において「一括貸倒引当金繰入限度額」という。)に達するまでの金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

所得税法
貸倒引当金
第五十二条
青色申告書を提出する居住者事業所得を生ずべき事業を営むものが、その有する売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権で当該事業の遂行上生じたもの (個別評価貸金等を除く。以下この項において「一括評価貸金」という。)の貸倒れによる損失の見込額として、各年において貸倒引当金勘定に繰り入れた金額 については、当該金額のうち、その年十二月三十一日において有する一括評価貸金の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額 は、その者のその年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

一括評価金銭債権の位置づけ・体系(上位概念等)

貸倒引当金の繰入限度額の計算方法

法(所得税法法人税法)では、貸倒引当金の設定に関して、個別評価によるものと一括評価によるものとに大別したうえ、それぞれに貸倒引当金の対象となる債権の範囲と貸倒引当金の繰入限度額を規定している。

このうち一括評価金銭債権は一括評価による貸倒引当金の設定対象となる債権で、所定の繰入限度額まで必要経費損金に算入することができる。

  1. 一括評価 … 一括評価金銭債権が対象
  2. 個別評価個別評価金銭債権が対象

なお、会計上、「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号)では、債権を次の3つに区分したうえ、それぞれの区分に応じた貸倒見積高の算定方法を定めている。

  1. 一般債権
  2. 貸倒懸念債権
  3. 破産更生債権等

一括評価金銭債権は会計でいうところの一般債権に相当し、個別評価金銭債権は貸倒懸念債権と破産更生債権に相当する。

ただし、会計上の上記3区分に応じて定められた貸倒引当金法上の貸倒引当金の繰入限度額とは異なるため、貸倒引当金を見積計上しても必要経費損金不算入となる場合がある。

会計上の貸倒引当金がこの法上の貸倒引当金の繰入限度額を超過する場合は、その金額について確定申告時に別表4で加算調整を行う必要が生じる。

そのため、実務では、貸倒引当金の設定に際しては、法にしたがい必要経費損金として認められる貸倒引当金の繰入限度額の金額を設定することが多い。

一括評価金銭債権の範囲・具体例

一括評価金銭債権の範囲

一括評価の対象となる一括評価金銭債権の範囲は、売掛金・貸付金その他これらに準ずる金銭債権で、個別評価の対象とした金銭債権(=個別評価金銭債権)を除いたものである。

一括評価金銭債権の具体例

一括評価金銭債権の具体例としては、次のようなものがある。

  1. 売上債権
    1. 売掛金
    2. 受取手形
  2. 貸付金
  3. 立替金
  4. 未収金(未収賃貸料・工事未収金など未収請負金・未収手数料・未収保管料等)
  5. その他事業所得の収入となる債権

これに対し、次に掲げる金銭債権は一括評価金銭債権には該当せず、必要経費損金に算入することはできない。

  1. 保証金・敷金・預け金その他これらに類する金銭債権
  2. 手付金・前渡金等
  3. 前払金(前払給料・概算払旅費・前渡交際費等)
  4. 仮払金
  5. 雇用保険法・雇用対策法・障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定にもとづき交付を受ける給付金等の未収金
  6. 仕入割戻しの未収金
  7. 同一人に売掛金と買掛金があるなど実質的に債権と認められない部分の金額

一括評価金銭債権の貸倒引当金の繰入限度額

一括評価による貸倒引当金の繰入限度額の計算方法は次のとおりである。

所得税法

貸倒引当金の繰入限度額 = 年末における一括評価貸金の帳簿価額の合計額 ✕ 一定の割合(金融業以外は5.5%、金融業は3.3%)

所得税法施行令
(一括評価貸金に係る貸倒引当金勘定への繰入限度額)
第百四十五条 法第五十二条第二項 (貸倒引当金)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項の居住者のその年十二月三十一日において有する一括評価貸金(同項 に規定する一括評価貸金をいう。以下この条において同じ。)の帳簿価額(当該一括評価貸金のうち当該居住者が当該一括評価貸金に係る債務者から受け入れた金額があるためその全部又は一部が実質的に債権とみられないものにあつては、その債権とみられない部分の金額に相当する金額を控除した残額。次項において同じ。)の合計額に、その者の営む事業所得を生ずべき事業のうち主たるものが次の各号に掲げる事業のいずれに該当するかに応じ当該各号に掲げる割合を乗じて計算した金額とする。
一  金融業以外の事業 千分の五十五
二  金融業 千分の三十三

法人税法

貸倒引当金の繰入限度額 = 年末における一括評価金銭債権の帳簿価額の合計額 ✕ 貸倒実績率(または法定繰入率

資本金1億円以下の中小法人では貸倒実績率法定繰入率との選択適用が認められている。

法人税法施行令
貸倒引当金勘定への繰入限度額)
第九十六条
 法第五十二条第二項 に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項 の内国法人の当該事業年度終了の時において有する一括評価金銭債権(同項 に規定する一括評価金銭債権をいう。以下この項において同じ。)の帳簿価額の合計額に貸倒実績率(第一号に掲げる金額のうちに第二号に掲げる金額の占める割合(当該割合に小数点以下四位未満の端数があるときは、これを切り上げる。)をいう。)を乗じて計算した金額とする。



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