[税金]所得税法・法人税法等

サラリーマンから個人事業主・会社まで所得税・法人税等の確定申告の便覧に。税務ハンドブックとして税金対策にも役立ちます。


資産損失―対象―資産損失の対象となる損失


資産損失の制度の対象となる損失の分類

はじめに

資産について生じた損失のうち、特定の資産損失については、所得税法上特別な取り扱いがなされています。

すなわち、その損失の金額を必要経費に算入できるようにして、生じた損失を個人の所得税の課面に反映させ、所得税の負担の軽減免除を図っています。

資産損失とは

 

この資産損失の制度の対象となる特定の損失は、大別すると次の2つの種類があります。

  1. 固定資産について一定の事由で生じた損失の金額
  2. 売掛金、貸付金などの債権の貸倒れで生じた損失の金額

所得税法
第三目 資産損失

資産損失必要経費算入)
第五十一条 居住者の営む不動産所得事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
居住者の営む不動産所得事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

 

法律の表現は難しいので、これをわかりやすく簡単に表でまとめてみると、次のようになります。

資産損失の制度の対象となる損失の分類
所得税法損失の対象損失が生じた事由
51条1項 固定資産 取りこわし、除却、滅失その他の事由
51条2項 売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権 貸倒れ

 

1.固定資産について一定の事由で生じた損失の金額

所得税法51条1項は、固定資産について、取りこわし、除却、滅失その他の事由により生じた損失の金額を、必要経費に算入できるとしています。

ただし、ここで損失が生じた事由としてあげられている「取りこわし、除却、滅失」というのは例示列挙にすぎません。

つまり、固定資産について、損失が生ずれば、広く資産損失として必要経費に算入することができます。

 

2.売掛金、貸付金などの債権の貸倒れで生じた損失の金額

所得税法51条2項では、売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れにより生じた損失の金額も、必要経費に算入できるとしています。

ここにいう「貸倒れ」とは、客観的にその債権を回収することができなくなった場合をいいます。

 



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