[税金]所得税法・法人税法等

サラリーマンから個人事業主・会社まで所得税・法人税等の確定申告の便覧に。税務ハンドブックとして税金対策にも役立ちます。


所得―範囲―包括的所得概念


包括的所得概念とは

包括的所得概念の定義・意味・意義

所得税法人税などの課税対象所得といいます。

しかし、所得を具体的にどのように考えるかについては、さまざまな説があります。

包括的所得概念とは、そうした説のなかの一つで、新たに得た経済的利益のすべてが所得であると考えるというものです。

日本の所得税法法人税法は、この包括的所得概念と呼ばれる所得の考え方を採用しています。

 

包括的所得概念による所得の算定・算出・計算方法

包括的所得概念によれば、具体的には、所得は、次の計算式・公式で算定・算出されます。

所得=期中消費額+期中純資産増加額(期末純資産額-期首純資産額)

 

包括的所得概念の反対概念

制限的所得概念

包括的所得概念に対して、反覆的または継続的な収入だけを所得として、一時的・偶発的な利得を所得の範囲から除外する制限的所得概念という考え方もあります。

 

包括的所得概念の趣旨・目的・役割・機能

包括的所得概念は、すべてを合計したものがその人の担税力をもっともよくあらわしているという考え方です。

 

包括的所得概念の根拠法令・法的根拠・条文など

包括的所得概念については、法律にその明文の規定があるわけではありません。

しかし、たとえば、所得税法では、雑所得という所得の類型を設け、これを「利子所得配当所得不動産所得事業所得給与所得退職所得山林所得譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得」と定義しています。

つまり、きちんと定義付け・区分されないような所得も全部所得であるとしているわけで、これが所得税法が包括的所得概念を採用している根拠の一つとされています。

 

包括的所得概念の位置づけ・体系

期間計算主義→包括的所得概念→総合課税

包括的所得概念は、一定の期間を区切って所得額を計算するという期間計算主義を前提としています。

そして、この包括的所得概念を前提として、所得税課税方法(ないしは課税方式)の一つである総合課税という考え方が可能となります。

 

包括的所得概念の例外的制度

日本の所得税法では、包括的所得概念の考え方が採用されています。

しかし、この考え方が徹底されているわけではなく、これと相容れないような次のような制度もあります。

所得分類

所得税法では、所得を10種類に分類し、その区分された所得ごとに所得の金額の計算を行うこととしています。

この所得分類の制度は、本来、包括的所得概念の考え方にはなじまないものといえます。

しかし、課負担の公平の見地から、所得の性質に応じた担税力に配慮した課を実現するために、所得分類の制度が採用されてます。

 

所得金額の計算方法

所得金額は、一般に収入金額から必要経費を差し引いて計算します。

この計算方法も所得分類の制度と同様、やはり包括的所得概念の考え方には本来なじまないものといえるでしょう。

 



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