[税金]所得税法・法人税法等

サラリーマンから個人事業主・会社まで所得税・法人税等の確定申告の便覧に。税務ハンドブックとして税金対策にも役立ちます。


消費税―計算方法(課税方法)―仕入税額控除―仕入控除税額―計算―例外―簡易課税


簡易課税とは

簡易課税の定義・意味・意義

消費税の計算は、売上に対する消費税(売上に上乗せした消費税。つまり、事業者が顧客等から受け取った消費税)から、仕入と経費に対する消費税(仕入れや経費に上乗せされた消費税。つまり、事業者が得意先等に支払った消費税)を控除して行います。

消費税の納付額 =売上に対する消費税(受け取った消費税) - 仕入と経費に対する消費税(支払った消費税

仕入税額控除の額=仕入控除税額と呼びます。

しかし、仕入税額控除の額=仕入控除税額を計算するのはかなり煩雑です。

そこで、法定の要件を満たした中小事業者については、例外的に簡単な方法で仕入控除税額を計算することが認められています。

これを簡易課税といいます。

簡易課税制度では、みなし仕入率というものを使用することで、実際に支出した仕入や経費の額を計算することなく、売上から仕入や経費を一律に推計して仕入控除税額を算出し、消費税額を決定します。

つまり、仕入控除税額の計算方法の特例で、仕入控除税額課税売上高抜)に対する額の一定割合とみなす制度です。

簡易課税の根拠法令・法的根拠・条文など

簡易課税制度は、消費税法第37条に規定されています。

消費税
(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
第三十七条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、その納地を所轄する務署長にその基準期間における課税売上高(同項に規定する基準期間における課税売上高をいう。以下この項及び次条第一項において同じ。)が五千万円以下である課税期間(第十二条第一項に規定する分割等に係る同項の新設分割親法人又は新設分割子法人の政令で定める課税期間(以下この項及び次条第一項において「分割等に係る課税期間」という。)を除く。)についてこの項の規定の適用を受ける旨を記載した届出書を提出した場合には、当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(当該届出書を提出した日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が五千万円を超える課税期間及び分割等に係る課税期間を除く。)については、第三十条から前条までの規定により課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の額の合計額は、これらの規定にかかわらず、当該事業者の当該課税期間課税標準額に対する消費税額から当該課税期間における第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の百分の六十に相当する金額(卸売業その他の政令で定める事業を営む事業者にあつては、当該残額に、政令で定めるところにより当該事業の種類ごとに当該事業における課資産の譲渡等に係る消費税額のうちに課税仕入れ等の額の通常占める割合を勘案して政令で定める率を乗じて計算した金額)とする。この場合において、当該金額は、当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。

簡易課税の要件・条件

ただし、簡易課税制度の適用を受けるには、所定の要件を満たすことが必要となります。

次のページを参照してください。

簡易課税の要件・条件

簡易課税の位置づけ・体系

仕入税額控除の計算方法は大別すると次の2つの方法があります。

  1. 一般課税原則課税本則課税)…仕入税額控除についてもきちんと計算する
  2. 簡易課税…仕入税額控除の計算方法が簡略化されている

このうち一般課税原則課税)が原則とされています。

なお、課税事業者消費税確定申告をしなければなりませんが、それぞれの計算方法に対応したかたちで消費税の申告にも2つの仕方があることになります。

したがって、確定申告書には、一般課税用申告書と簡易課税用申告書との2つの様式があります。

簡易課税制度の趣旨・目的・役割・機能

仕入税額控除の簡単な計算方法

一般課税では仕入控除税額の計算が煩雑となります。

簡易課税制度は、中小事業者の事務手続きを緩和するために設けられた仕入控除税額の計算方法の特例制度です。

得をしたり損をしたりする制度でもある

簡易課税制度は消費税額の計算が簡単になるだけでなく、みなし仕入率により計算した仕入控除税額が実際の仕入と経費にかかる仕入控除税額より大きいときには得をする制度ともなります。

つまり、簡易課税方式により消費税を算出した方が消費税の納付額が少なくすむ場合があります。

ただし、一般的には簡易課税は実際よりも(つまり、一般課税方式によるよりも)消費税額を多く納めることになる場合が多くなります。

簡易課税制度による消費税の納付額の算定・算出・計算方法・計算の仕方

一般課税原則課税)による計算方法では、消費税の納付額は、次の計算式で算定します。

消費税の納付額 = ①課税売上高抜)の4% - ②課税仕入高(抜)の4%

仕入税額控除の額=仕入控除税額の分です。

しかし、簡易課税においては、仕入控除税額については、実際に支出した仕入や経費の額とはかかわりなく、次の計算式により売上から一律に推計して算出することができます。

仕入控除税額課税売上高抜)×4%×みなし仕入率(50~90%)

つまり、簡易課税方式で納付すべき消費税額を算出するための計算式は次のとおりとなります。

消費税の納付額 = 課税売上高抜)×4% - 課税売上高抜)×4%×みなし仕入率(50~90%)

簡易課税のメリットとデメリット

次のページを参照してください。

簡易課税のメリットとデメリット

簡易課税制度に関する手続き

簡易課税制度を選択する場合の事前の届出

一般課税と簡易課税という2つの計算方法は自由に選択することができます。

簡易課税方式を選択する場合には事前にその届出書(『消費税簡易課税制度選択届出書』)を所轄の務署に提出する必要があります。

なお、一般課税方式により消費税を計算し消費税申告をすることが原則とされていますので、届出をしない場合には一般課税となります。



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