配当所得の課税関係(課税方法・税額の計算方法・納税方法)―例外―確定申告不要(実質的な源泉分離課税)
はじめに
配当所得は、非課税とされるものを除き、総合課税されて確定申告をすることが原則です。
しかし、配当所得の課税関係については、租税特別措置法にさまざまな例外規定があります。
確定申告が不要とされるものがあることもその一つです。
このページでは、配当所得で確定申告が不要とされる場合についてまとめています。
確定申告を要しない配当所得
少額の配当や、上場株式等に対して支払われる配当所得については、確定申告の際、その配当所得の金額を除外した総所得金額を計算することができます。
つまり、確定申告をしないこともできるということです。
この場合は、所定の税率による源泉徴収だけで課税関係は完結しますので、実質的には源泉分離課税と同じ課税関係になります。
したがって、配当控除の適用もありません。
ただし、少額の配当と上場株式等とでは、確定申告が不要となる条件や税率の取り扱いが異なります。
源泉徴収税率 | 確定申告 | |||
---|---|---|---|---|
1つの法人から1年間に10万円以下の配当 | 20%の税率で源泉徴収 | 不要 | なし | |
なし | 15%の税率で源泉徴収 | 不要 | なし |
なお、原則どおりに、総合課税を行い、確定申告で源泉徴収税額を精算する方法のほうが有利であれば、その方法によることもできます。
少額配当等の場合
「少額」の配当とは、1つの法人から1年間に10万円以下の配当しか受け取らない場合をいいます。
正確には、内国法人から支払いを受けるべき配当等で、1回に支払いを受けるべき金額が次の算式により計算した金額以下であるものをいいます。
10万円 × 配当計算期間の月数(1月未満切り上げ)/12
少額配当等の場合、結果的には、20%の税率で源泉分離課税されるのと同じ効果があります。
上場株式等の場合
上場株式等の場合は、金額の制限なしに確定申告が不要とされています。
しかも、これらの配当所得については源泉徴収税率が15%とされています。
したがって、結局、上場株式等に対する配当所得は、15%の税率による源泉分離課税、つまり、実質的に利子所得の場合と同じ課税が行われることになります。
ただし、租税特別措置法によるこの特例は、配当を受ける個人がその上場会社の発行済株式の5%以上を保有している場合(つまり、大株主の場合)には、適用されません。
したげって、大株主は、原則どおり、所得税法の適用により、総合課税されて確定申告をすることになります。
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- 配当所得の課税関係(課税方法・税額の計算方法・納税方法)―原則―総合課税で確定申告
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