[税金]所得税法・法人税法等

サラリーマンから個人事業主・会社まで所得税・法人税等の確定申告の便覧に。税務ハンドブックとして税金対策にも役立ちます。


減価償却費の計算―③減価償却の方法(償却方法)―普通償却―例外―少額減価償却資産の即時償却(一時償却)


少額減価償却資産の即時償却とは

少額減価償却資産の即時償却の定義・意味など

少額減価償却資産の即時償却とは、少額減価償却資産については、取得時に取得価額の全額を即時償却一時償却)できる(つまり、必要経費または損金に算入することができる)とする所得税法上または法人税法上の償却方法をいう。

所得税法上の規定

所得税法施行令
(少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入)
第百三十八条 居住者不動産所得事業所得山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供した減価償却資産(第百二十条第一項第六号及び第百二十条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるものを除く。)で、第百八十一条第一号(資本的支出)に規定する使用可能期間が一年未満であるもの又は取得価額(第百二十六条第一項各号若しくは第二項(減価償却資産取得価額)の規定により計算した価額をいう。次条第一項において同じ。)が十万円未満であるものについては、第四款(減価償却資産の償却)の規定にかかわらず、その取得価額に相当する金額を、その者のその業務の用に供した年分の不動産所得の金額事業所得の金額山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

法人税法上の規定

法人税法施行令
(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)
第百三十三条 内国法人がその事業の用に供した減価償却資産(第四十八条第一項第六号及び第四十八条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるものを除く。)で、前条第一号に規定する使用可能期間が一年未満であるもの又は取得価額(第五十四条第一項各号(減価償却資産取得価額)の規定により計算した価額をいう。次条第一項において同じ。)が十万円未満であるものを有する場合において、その内国法人が当該資産の当該取得価額に相当する金額につきその事業の用に供した日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

少額減価償却資産の即時償却の別名・別称・通称など

少額減価償却資産の一時償却

即時償却」ではなく「一時償却」という用語が使用される場合もある。

少額の広告宣伝用資産の一時償却法人税目次一覧|国税庁 https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/04/07.htm

また、法上の正式名称は、所得税法では「少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入」、法人税法では「少額の減価償却資産の取得価額の損金算入」である。

少額減価償却資産の即時償却の位置づけ・体系(上位概念等)

減価償却の方法の例外

減価償却資産については、原則として、取得時に資産計上したうえ、その後耐用年数にわたって毎決算期に定額法定率法などの償却方法による減価償却により費用処理をする必要がある。

しかし、少額減価償却資産一括償却資産については、例外的に即時償却一時償却)や3年均等償却が認められている。

こうした例外は少額減価償却資産の即時償却も含めて、次の3つがある。

  1. 少額減価償却資産の即時償却
  2. 少額減価償却資産の即時償却の特例
  3. 一括償却資産の3年均等償却

少額減価償却資産の即時償却の要件

適用対象
適用対象者

少額減価償却資産の即時償却の特例とは異なり、適用対象者に関する要件はない。

所得税法では「居住者」、法人税法では「内国法人」と規定されているのみ。

適用対象資産

少額減価償却資産の一時償却の適用対象資産は、少額減価償却資産、すなわち使用可能期間が1年未満のもの、または、1個もしくは1組の取得価額が10万円未満の資産である。

  • 使用可能期間が1年未満の資産
  • 取得価額が10万円未満の資産

なお、少額減価償却資産の即時償却の特例とは異なり、上限はない。

手続要件

少額減価償却資産の即時償却の特例とは異なり、手続きに関する要件もない。

少額減価償却資産の即時償却の目的・役割・意義・機能・作用など

重要性の原則

取得価額が少額で重要性に乏しい資産についてまで、本格的な減価償却の方法を求めることはあまり意味がない。

そこで、重要性の原則の見地から、少額減価償却資産については即時償却一時償却)が認められている。



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