減価償却―対象―減価償却資産―分類・種類①―少額減価償却資産
少額減価償却資産とは
少額減価償却資産の定義・意味など
少額減価償却資産(しょうがくげんかしょうきゃくしさん)とは、使用可能期間が1年未満、または1個もしくは1組の取得価額が10万円未満の資産をいう。
少額減価償却資産の税法上の取り扱い
少額減価償却資産の即時償却(一時償却)
10万円未満の少額減価償却資産については、通常の減価償却の方法によることもできるが、税法上、事業の用に供した年度に取得金額の全額を費用処理する(必要経費算入または損金算入) することも認められている。
法人税法施行令
(少額の減価償却資産の取得価額の損金算入)
第百三十三条 内国法人がその事業の用に供した減価償却資産(第四十八条第一項第六号及び第四十八条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるものを除く。)で、前条第一号に規定する使用可能期間が一年未満であるもの又は取得価額(第五十四条第一項各号(減価償却資産の取得価額)の規定により計算した価額をいう。次条第一項において同じ。)が十万円未満であるものを有する場合において、その内国法人が当該資産の当該取得価額に相当する金額につきその事業の用に供した日の属する事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
所得税法施行令
(少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入)
第百三十八条 居住者が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供した減価償却資産(第百二十条第一項第六号及び第百二十条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるものを除く。)で、第百八十一条第一号(資本的支出)に規定する使用可能期間が一年未満であるもの又は取得価額(第百二十六条第一項各号若しくは第二項(減価償却資産の取得価額)の規定により計算した価額をいう。次条第一項において同じ。)が十万円未満であるものについては、第四款(減価償却資産の償却)の規定にかかわらず、その取得価額に相当する金額を、その者のその業務の用に供した年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
少額減価償却資産の即時償却(一時償却)の特例
青色申告者である中小企業者の場合、30万円未満の少額減価償却資産については、通常の減価償却の方法によることもできるが、税法上、事業の用に供した年度に取得金額の全額を費用処理する(必要経費算入または損金算入) することも認められている。
租税特別措置法
(中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例)
第二十八条の二 第十条第六項第四号に規定する中小事業者で青色申告書を提出するもの(以下この項において「中小事業者」という。)が、平成十八年四月一日から平成二十八年三月三十一日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小事業者の不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の用に供した減価償却資産で、その取得価額が三十万円未満であるもの(その取得価額が十万円未満であるもの及び第十九条各号に掲げる規定その他政令で定める規定の適用を受けるものを除く。以下この条において「少額減価償却資産」という。)については、所得税法第四十九条第一項 の規定にかかわらず、当該少額減価償却資産の取得価額に相当する金額を、当該中小事業者のその業務の用に供した年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、当該中小事業者のその業務の用に供した年分における少額減価償却資産の取得価額の合計額が三百万円(当該業務の用に供した年がその業務を開始した日の属する年又はその業務を廃止した日の属する年である場合には、これらの年については、三百万円を十二で除し、これにこれらの年において業務を営んでいた期間の月数を乗じて計算した金額。以下この項において同じ。)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち三百万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額を限度とする。
(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)
第六十七条の五 第四十二条の四第二項に規定する中小企業者又は農業協同組合等で、青色申告書を提出するもの(以下この項において「中小企業者等」という。)が、平成十八年四月一日から平成二十八年三月三十一日までの間に取得し、又は製作し、若しくは建設し、かつ、当該中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産で、その取得価額が三十万円未満であるもの(その取得価額が十万円未満であるもの及び第五十三条第一項各号に掲げる規定その他政令で定める規定の適用を受けるものを除く。以下この条において「少額減価償却資産」という。)を有する場合において、当該少額減価償却資産の取得価額に相当する金額につき当該中小企業者等の事業の用に供した日を含む事業年度において損金経理をしたときは、その損金経理をした金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。この場合において、当該中小企業者等の当該事業年度における少額減価償却資産の取得価額の合計額が三百万円(当該事業年度が一年に満たない場合には、三百万円を十二で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額。以下この項において同じ。)を超えるときは、その取得価額の合計額のうち三百万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額を限度とする。
少額減価償却資産の目的・役割・意義・機能・作用など
重要性の原則
長期にわたり使用される固定資産は、減価償却により費用配分を行うことが原則であるが、その取得価額が少額である場合には、「重要性の原則」の見地から、税法上、一括して費用処理をすることを認めたものである。
少額で重要性に乏しい資産についてまで、本格的な減価償却の方法を求めることはあまり意味がないからである。
少額減価償却資産の範囲
青色申告者である中小事業者や中小企業者等
青色申告者である中小事業者や中小企業者等の場合は、租税特別措置法により少額減価償却資産の判定が30万円未満にまで引き上げられている。
リース資産
リース資産も減価償却の対象になるが、リース資産は少額減価償却資産の即時償却については適用対象外である。
ただし、少額減価償却資産の即時償却の特例については、リース資産も適用対象となる。
少額減価償却資産と関係する概念
一括償却資産
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