[税金]所得税法・法人税法等

サラリーマンから個人事業主・会社まで所得税・法人税等の確定申告の便覧に。税務ハンドブックとして税金対策にも役立ちます。


減価償却


(" 減価償却 "から複製)

減価償却とは 【depreciation

減価償却の定義・意味など

減価償却(げんかしょうきゃく)とは、使用あるいは時の経過とともに価値が減少する資産の価値の減少分を費用処理するための会計上の手続きをいう。

すなわち、所定の資産(→減価償却資産)について、その価値の減少額を見積り、これを費用処理(費用配分・費用化)するとともに資産の価値を減少させる手続きである。

具体的には、耐用年数にわたって毎決算期に定額法定率法等の償却方法にもとづいて計算した減価償却費として費用処理するとともに、当該資産の帳簿価額から減価償却費相当額を減少させる。

企業会計原則
 資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない。有形固定資産は、当該資産の耐用期間にわたり、定額法定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分し、無形固定資産は、当該資産の有効期間にわたり、一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分しなければならない。…

減価償却の目的・役割・意義・機能・作用など

複式簿記という記帳方法では取引を以下の5つのグループに分類して集計する。

  1. 資産
  2. 負債
  3. 資本
  4. 費用
  5. 収益

上記のうち資産に含まれる固定資産は、事業を行うために1年以上利用する資産をいう。

したがって、たとえば営業用の自動車を買ったからといって勝手に別グループの費用にすることはできない。

つまり、法上から見ると資産は必要経費または損金算入できないが、費用ならば必要経費または損金算入が可能であるという大きな違いがある。

しかし、資産も原則として一括経費こそ認められていないが、数年(耐用年数)にわたって費用にすること(費用化)は認められている。

これが減価償却の制度である。

ただし、青色申告制度では、一定額を限度として資産であっても資産計上せずにすみその全額を必要経費または損金として認めてくれるという特典がある(これは時限立法の形で制定されることが多い)。

会計上
適正な損益計算

建物や機械等のように高額で、かつ、その使用期間が長期間にわたるものを、消耗品のように購入時の事業年度で全額費用に計上すると、適正な損益計算ができない。

そこで、費用収益対応の原則の見地から減価償却の手続きが必要になる。

つまり、減価償却の本質は支出を数期に分けて費用として計上する処理であり、「利益」をより正確に把握するために、家計簿的概念である収入・支出を収益・費用へと変換するための仕組みのひとつである。

簿記勘定科目一覧表(用語集): 減価償却費の計上

資産の適正評価

また、減価償却を行わないと、当該資産の帳簿価額に価値の減少分が反映されないため、減価償却相当額が過大に計上された決算書となる。

法上
費用の認識基準(期間帰属・費用の計上時期)―発生主義の適用(債務確定主義の適用対象外)

法上、費用の認識基準については債務確定主義が適用されるのが原則である。

したがって、本来であれば、固定資産取得価額必要経費算入・損金算入する時期は固定資産の除却時点ということになる。

しかし、建物や機械等のように高額で、かつ、その使用期間が長期間にわたるものを消耗品のように一事業年度で全額費用に計上することは、費用収益対応の原則から適当ではない。

そこで、固定資産については、債務確定主義の例外として会計上の発生主義の考え方を取り入れ、減価償却費というかたちでその取得価額耐用年数(使用可能期間)に費用として配分する(費用化する)ことを法上(所得税法法人税法)も明文の規定をもって認めている。

債務確定主義の適用対象・適用範囲

その他
投下資本の回収

減価償却資産は、使用や時の経過により価値が減少する。

この価値の減少額については、当該資産の使用によって得られた収益に負担させることにより、これに投下した「資本の回収」を図ることが必要である。
そのための会計上の手続きが減価償却である。

減価償却の分類・種類

法上の分類

法上、減価償却は次の2つに大別される。

  1. 普通償却
  2. 特別償却

計算上の減価償却費が強制されるか否かによる分類

法上、減価償却は計算上の減価償却費(「償却限度額」)が強制的に経費とされるか否かにより、次の2つに大別される。

  1. 強制償却
  2. 任意償却

なお、任意償却が認められるのは法人税法だけで、会計上はもちろんのこと、所得税法においても、「減価償却資産耐用年数に応じた償却率によって計算した償却費の額」を必要経費に算入すべきことを規定している(強制償却)。

つまり、納者が減価償却費必要経費に算入しないで所得の計算をしていても、必ず必要経費に算入する必要がある。

償却単位の違いによる分類

減価償却は償却単位の違いにより、次の2つに大別される。

  1. 個別償却
  2. 総合償却

減価償却の類似概念

償却

有形固定資産を償却することを「減価償却」と呼ぶのに対し、無形固定資産を償却することは「償却」と呼んで、両者を特に区別する場合がある。

ただし、両者を区別せず、ともに「減価償却」あるいは単に「償却」と呼ぶ場合もある。

減価償却の会計・簿記・経理上の取り扱い

会計処理方法

期中に減価償却資産を購入したときは取得原価で評価したうえ、該当する資産勘定の借方に記帳して資産計上する。

そして、その後毎決算期に減価償却、すなわち、当該資産の価値の減少額を減価償却費勘定を用いて費用処理するとともに、資産の帳簿価額を減少させていく。

減価償却に関する事務

償却方法の届出

減価償却の方法―減価償却資産の償却方法(減価償却費の算定・算出・計算方法)

償却資産の申告

償却資産固定資産税課税対象となるため、償却資産を所有している事業者は、市町村への償却資産の申告が法律が義務づけられている。

次のページなどを参照。

固定資産税―償却資産 - 税金―所得税法



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