譲渡所得の範囲と具体例
はじめに
したがって、譲渡所得の範囲を考えるには、「資産」と「譲渡」の具体的な内容を明らかにする必要があります。
このページでは、「資産」と「譲渡」のそれぞれの具体的内容についてまとめています。
1.譲渡所得を発生させる「資産」とは
原則
「資産」の定義・意味・意義
譲渡所得の対象となる「資産」とは、原則として、経済的価値があって他人に移転可能なすべてのものをいいます。
「資産」の具体例
「資産」には、具体的には、次のようなものがあります。
- 土地
- 借地権
- 建物
- 船舶
- 機械器具
- 漁業権、鉱業権
- 取引慣行のある借家権
- ゴルフ会員権
- 特許権、著作権
- 土石(砂)
- 特定の有価証券
- 書画、骨とう、宝石
例外
所得税法上または実務上、次に掲げるものは譲渡所得の対象となる「資産」の範囲から除外されています。
1.他の所得類型となる場合
所得税法により、次の資産の譲渡による所得は他の所得類型に区分されるため、譲渡所得の対象から除外されています。
※棚卸資産とは、事業で売られる商品などのことです。
所得税法
(譲渡所得)
第三十三条 …
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
棚卸資産(商品)・準棚卸資産 | 事業所得または雑所得 |
その他営利を目的とする継続的な売買に係る資産 | 事業所得または雑所得 |
山林 | 山林所得または事業所得または雑所得 |
2.非課税所得
生活用動産
3.現金と金銭債権
現金は、経済的価値があって他人に移転可能な資産です。
しかし、そもそも譲渡所得の趣旨は、値上がり益・キャピタルゲイン(簿価と時価との差額)に課税する点にあります。
この点、現金はそれ自体が価値尺度であって、「値上がり」を考えることはできません。
したがって、現金は「資産」にはあたらないと解されています。
また、同じような理由から、金銭債権も「資産」にはあたらないとされています。
所得税基本通達では、「資産」を次のように定義しています。
所得税基本通達
(譲渡所得の基因となる資産の範囲)
33-1 譲渡所得の基因となる資産とは、法第33条第2項各号に規定する資産及び金銭債権以外の一切の資産をいい、当該資産には、借家権又は行政官庁の許可、認可、割当て等により発生した事実上の権利も含まれる。
2.譲渡所得を発生させる「譲渡」とは
「譲渡」の定義・意味・意義
譲渡所得を発生させる「譲渡」とは、資産の所有権を他人に移転する一切の行為をいいます。
対価を得ないで所有権を移転すること(たとえば、贈与)も含まれます。
「譲渡」の具体例
「譲渡」には、具体的には、次のようなものがあります。
- 売買
- 交換
- 代物弁済
- 法人に対する現物出資
- 競売
- 公売
- 強制収用
- 物納
- 財産分与
- 贈与
- 相続
- 伊蔵
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- 譲渡所得の範囲と具体例
- 譲渡所得の範囲―事業所得との区別
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- 譲渡所得の分類―総合課税の譲渡所得(総合譲渡所得・総合譲渡)
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- 譲渡所得の金額―原則―総論―総収入金額
- 譲渡所得の金額―原則―総論―取得費
- 譲渡所得の金額―原則―総論―取得費―資産の取得に要した金額(取得価額)
- 譲渡所得の金額―原則―総論―内部通算(譲渡損益の相殺)
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- 譲渡所得の金額―原則―各論―②土地建物等の分離課税の譲渡所得
- 譲渡所得の金額―原則―各論―③株式等の分離課税の譲渡所得
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- 譲渡所得の金額―例外―無償・低額の資産移転の場合―みなし譲渡所得課税(収入金額の計算の特例)
- 譲渡所得の金額―例外―無償・低額の資産移転の場合―取得費の引継ぎによる課税繰延(取得費の計算の特例)
- 譲渡所得の金額―例外―無償・低額の資産移転の場合―取得費の引継ぎによる課税繰延(取得費の計算の特例)―計算
- 譲渡所得の金額―例外―無償・低額の資産移転の場合―みなし譲渡所得課税・課税繰延の要件・条件
- 譲渡所得の課税関係(課税方法・税額の計算方法・納税方法)
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